韓国ドラマの悪女はなぜ冷酷なのか
2016’12.20・Tue
韓国ドラマに出てくる悪女はなぜあんなに冷酷なのか
日本のドラマを見ると、あまりにいい人が出すぎるようだ。
ほのぼのとしたドラマにはなるが、インパクトに欠けるきらいがある。
その点、韓国のドラマにはワルがたくさん出てくる。
しかも、悪女の冷酷さは身震いがするほどだ。

序列を崩すのが悪女
韓国は典型的な序列社会で、みんなが自分の序列を確認しながら対人関係を保っている。
それは窮屈なことであり、息が詰まることなのだ。
しかし、韓国で住む以上は、序列の遵守が必要不可欠となる。
そこが、ドラマの付け目である。
つまり、序列を覆すことが意外性につながり、ドラマをグッと面白くする。
現実社会では序列に苦しみながら、ドラマを見るときは、序列の崩壊を視聴者は楽しむ……この落差が快感なのである。
しかも、序列を覆す典型的な存在が悪女だ。
彼女たちは嘘をつき、人を陥れ、自分の利益に固執する。
そこには、序列の遵守という気持ちなどカケラもない。
「怖いもの見たさ」を増幅
韓国ドラマに登場する悪女が一番冷酷になるのが、血がつながっていない身内への仕打ちである。
たとえば、夫が死んだときに夫の連れ子を文無しにして追い出す、なんて当たり前。
自分がお腹を痛めて産んだ子供を守るためなら、「義」がつく親、兄弟、子供を徹底的に排除する。
そんな場面を描いた韓国ドラマを今まで数多く見てきた。
「こんなひどい女がいるか」
ドラマの話なのに、視聴者はあまりに感情移入しすぎて、架空の悪女を現実の存在のように錯覚してしまう。
そうなると、ドラマの人気はグッと上がってくる。
韓国ドラマが執拗に悪女を登場させるのは、情にもろい韓国の視聴者たちの感情を逆撫でにして、「怖いもの見たさ」を増幅させるからである。
歴史で言えば文定王后の実例
血がつながっていない身内に冷酷、と言えば、歴史的に文定(ムンジョン)王后を思い出す。
彼女は11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室だった女性だ。
二番目の正室は中宗の長男を産んだ直後に亡くなったが、後に王妃となった文定王后は、自分が産んだ中宗の二男を王にするために、血がつながっていない長男の殺害を執拗に狙った。
それは成功せず、中宗が1544年に世を去ったあとに長男が12代王・仁宗(インジョン)となった。
それでも文定王后は諦めなかった。
仁宗は即位して8カ月目に急死したが、文定王后によって毒殺されたと言われている。
げに恐ろしき文定王后。
たとえ国王であろうと、血がつながっていない息子を冷酷に毒殺する……彼女のような悪女がどんどん出てくるのが、現代の韓国ドラマのツボと言えるかもしれない。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
-愛してる韓国ドラマK-POP-
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