韓流の真の危機
2017’04.27・Thu
【コラム】韓流の真の危機
最近の若者世代にはあまり馴染みのない話だろうが、韓国映画を見に行くのは「物好き」程度に扱われた時期があった。
音楽も同じだ。
大学生や識者層はポップを聞き、演歌のような歌謡は市場通りの音楽程度に蔑まれたりもした。
どれほど大昔の話をしているのかとお思いだろうが、1980年代だけでもそんな雰囲気だった。
私が大学に通っていた当時、劇場で見た韓国映画は指で数える程度だ。
韓国映画はいつも外国映画の後回し、外国映画よりも下だった。
88年ハリウッド配給会社UIPが『危険な情事』で国内直配を始めるや、韓国映画が皆死んでしまうと考えた忠武路(チュンムロ)映画関係者が劇場に蛇を放ってこれに抵抗したのはこのためだ。
もちろん、その後かなりの歳月が流れ、いつのまにか韓国の観客は劇場で圧倒的に韓国映画を好む時代になった。
年に1000万人の観客を集める韓国映画が1~2本作られる。
市場規模だけが大きくなったのではない。
海外映画祭での成果などに代表される質的成長もまた輝かしい。
来月開かれるカンヌ国際映画祭には米国ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を手掛けた世界的な動画ストリーミング企業Netflix(ネットフリックス)が投資・製作するポン・ジュノ監督の『Okja』が、ホン・サンス監督&女優キム・ミニ・カップルの『その後(The Day After)』とともにコンペ部門に招待された。
ホン監督は『Claire’s Camera』で非コンペ部門にも進出した。
また、パク・チャヌク監督はコンペ部門の審査委員だ。
すべて韓国映画のブランドパワーなしでは不可能だった。
個人的には、このように韓国映画が飛躍的に成長する過程で、文化部記者として仕事ができたことは幸運だったと思う。
パク・チャヌク、ポン・ジュノ、キム・ギドク、ホン・サンスら韓国映画の原形そのものを揺さぶる才能あふれる監督が次々と登場し、不可能に見えた観客数1000万人、1500万人の高地を越える時は共に歓声を上げたりもした。
観客の立場でも「韓国映画が世界最高資本力のハリウッド映画に負けない」あるいは「惰性に慣れたハリウッド映画よりもマシ」という固い信頼で韓国映画を選ぶことがあった。
ところで、どうしたことだろう、いつからか韓国映画を見ることに興味を失っている。
ここ1~2年のことのように思える。
楽しみにして見る韓国映画リストが急激に減っている。
来月初めのゴールデンウィークを控え、韓国映画界が用意した“食卓”にもこれといって食指が動くようなメニューがない。
ある程度の質と面白さを保障し、特にお金が惜しいというわけでもないが、タイトルと俳優軍団、映画のコピーだけ見ても、どこかで見たような既視感100%の映画に対する疲労感が私を襲う。
財閥・政治権力など既得権は悪行を日常的に行い、これに対抗する正義の奮闘と勝利をドラマチックに描いた映画だ。
2015年1000万人映画『ベテラン』に始まり、26日に公開された『特別市民』(原題)に至るまで、別名「社会的憤怒ジャンル」「正義商業主義映画」と呼ばれている作品群だ。
テレビの分野でもさほど状況は変わらない。
「法匪(法律家盗賊)」を扱った『耳打ち』、義賊の物語『逆賊:民を盗んだ盗賊』などがこの系統だ。
もちろんこのように「正義商品」がヒットのキーワードとしてその地位を確立したのは、それだけ韓国社会には正義が不在で、正義への渇望が強いことを反映しているからだ。
しかし、問題はこうした社会派映画が複雑な現実問題を善悪二分法という単純な叙事の網に入れて金太郎飴のように量産し、文化的想像力を失っているところにある。
文化消費を通した現実葛藤の想像的解消を指摘する声もある。
しばらく韓国テレビは恋愛ばかりやっていて問題だとの指摘があったが、最近は韓国映画がソシオパス(反社会的な人格)既得権の悪行告発だけにオールインしていて問題ではないかと思う。
文化が最も警戒しなければならない画一化、常套性の問題だ。
そういえば、韓国映画界に真の問題作や問題的新人が出現しなくなって久しい。
よりにもよって先月の劇場街では、外国映画が韓国映画を制した。
映画振興委員会の集計の結果、3月劇場の観客占有率は韓国映画31.5%、外国映画68.5%だった。
「最近の韓国映画は話が分かりすぎていて気になりもしない」という周りの声も興味深く聞こえる。
韓流専門家でソウル大言論情報学科のホン・ソクギョン教授は「これまでになく韓流は危機だ。韓国のドラマファンが韓国ドラマを、韓国ファンが韓国映画やK-POPを見たり聞いたりしなくなること、それこそが真の韓流の危機」と述べた。300%共感する。韓流の危機はすでに始まっているのかもしれない。
- 中央日報-
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