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第3次韓流ブームの真相

2020’03.25・Wed

第3次韓流ブームの真相――それでも中高年が韓国に「上から目線」な訳

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編集部からのお知らせ:
本記事は、書籍『反日韓国という幻想 誤解だらけの日韓関係』(著・澤田 克己 、毎日新聞出版)の中から一部抜粋し、転載したものです。
著者は毎日新聞外信部長で、朝鮮半島情勢について長く取材してきた記者。
今は「第3次」とされる韓流ブームの支持者とそのメカニズム、それでも実は日本の中高年に「反韓」感情が少なくない理由について分析します。

 第1次韓流ブームというのは実際にどれほどのものなのだろうか。
まず第1次と第2次の韓流ブームとは何かを見ておこう。

ヨン様で中高年女性虜にした「第1次」

 「第1次韓流ブーム」というのは2003年にNHKがBSでドラマ「冬のソナタ」を放送したことを契機に起きたものだ。
主演の「ヨン様」ことぺ・ヨンジュンを追いかける中高年女性を中心とした大ブームとなった。

 私はこの時にソウル特派員をしていたのだが、ソウル市内のホテルでのイベントに登場するペ・ヨンジュンを一目見ようと、日本人女性ファンが押し合いへし合いする姿に驚かされたものだ。
その後韓流ドラマが日本の地上波で放送されることは珍しくなくなり、「宮廷女官チャングムの誓い」には多くの男性ファンが付いた。

 一方、10年にドラマ「美男ですね」がフジテレビなどで放送され、主演のチャン・グンソクの人気に火がついたことで、「第2次韓流ブーム」は始まった。
第2次韓流ブームではK-POPが特に注目され、ガールズグループの「少女時代」や「KARA」、男性グループである「東方神起」「BIGBANG(ビッグバン)」「2PM」などが主導した。

 「冬ソナ」放送の前年である02年にはサッカー・ワールドカップ(W杯)が日韓共催で行われていた。
日本政府が毎年秋から冬にかけて行う「外交に関する世論調査」でも、それまで4割前後だった「韓国に親しみを感じる」という回答が1990年代末から上昇を始めた。
2000年にはソウル五輪のあった1988年(50.9%)を上回る51.4%となり、2003年には55%だった。
それだけに第1次韓流ブームは多くの人に認知され、2004年の流行語大賞トップテンには「冬ソナ」が選ばれた。

 第2次韓流ブームは、韓国経済がリーマンショック後の世界的不況からいち早くV字回復を果たした時期に重なる。
サムスン電子に代表される韓国企業が世界市場で存在感を増し、日本では「日本企業はなぜサムスンに負け続けるのか」(『文藝春秋』2010年2月号)などといった記事が雑誌をにぎわせた。

 サムスン電子は、米インターブランドの算出する「世界ブランドランキング」で2012年に初のベストテン入りを果たし、トヨタの10位を上回った。
その後もサムスンの快進撃は続く。
2019年のランキング1位はアップルで、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、コカコーラと続き、6位がサムスン、7位がトヨタである。

 第2次韓流ブームの絶頂期は2012年夏までだろう。
11年のNHK紅白歌合戦には東方神起、少女時代、KARAというK-POPスター3組が顔をそろえたが、12年8月の李明博大統領による竹島上陸で一気に熱が冷め、同年の紅白歌合戦からK-POPスターの姿は消えた。

10~20代中心、中高年世代は巻き込まず

 さて第3次韓流ブームである。
第3次韓流ブームの特徴の1つは、起点が「2016年から翌年にかけて」といった具合に、明確でないことにある。
テレビや雑誌といった既存媒体を通じたドラマやK-POPへの接触が起点となったこれまでと異なり、第3次ブームは化粧品(コスメ)やファッション、食品などの「商品」がSNSで人気を呼ぶ形で始まったからだ。
年齢層では10代から20代にかけての流行であり、中高年世代を巻き込んでいないことも、特徴として挙げられる。

 韓国政府系機関である韓国コンテンツ振興院の日本拠点がまとめた、第3次韓流ブームに関するリポートは、「日本で2015年を前後して10代、20代の女性をターゲットとした雑誌の休刊が相次いだ」ことと、2000年以降に生まれた女子中高生が「デジタルネイティブ世代」であることなどを、第3次韓流ブームの背景として挙げた。
日本のエンタメ業界が中高生を見ていないという飯塚さんの指摘にも通じる(編集部注:元の本書で言及)。

 世代間のギャップはランキングにも如実に出ている。
「日経TRENDY」誌の「ヒット商品ベスト30」を見ると、2004年には「冬のソナタ」が1位、2011年にはマッコリが7位、韓国発の健康食品「紅酢(ホンチョ)」が18位に入っているが、第3次ブームの時期である17年から19年のベスト30に韓国関連は見当たらない。

 一方で、女子中高生向けのマーケティング支援などを手掛けるAMF社による「JC(女子中学生)JK(女子高生)流行語大賞」では、2017年のヒト部門1位が韓国発のガールズグループ「TWICE(トゥワイス)」、モノ部門1位がフュージョン韓国料理の「チーズタッカルビ」、3位が韓国コスメ「ウユクリーム」だった。
2018年は、モノ部門2位に韓国風に撮影できるプリクラ機で通称「ピンモン(ピンクピンクモンスター)」、3位に韓国風フュージョンスナック「チーズドック」、4位に日韓合同オーディション番組「プロデュース48」となった。

 ピンモンについては「撮影の説明は全て韓国語でされるため『韓国っぽ』として、インスタ上では「#ピンモン」で11万以上の投稿がされるなど女子中高生を中心に広がって」いると説明されていた。
「韓国っぽ」は格好いいという意味だそうだ。

 そして、男性グループ「BIGBANG」のメンバー、D-LITE(テソン)を表紙モデルに起用して「ツウの韓国」という80ページ超の特集を組んだ講談社の女性誌「FRaU」2017年7月号は、発売直後からSNS上で大きな話題となり緊急増刷となった。
2019年のオリコン年間ランキングでは、音楽ソフトの総売上金額で4位がTWICE、5位がBTSだった。
ちなみに1位は嵐、2位が乃木坂46、3位がKing&Prince(キンプリ)である。

 違った観点からのアプローチも出てきている。
家父長的な古い意識が残る韓国社会での女性の生きづらさを描き、韓国で100万部を超えた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の日本語訳が2018年12月に発売され、韓国の小説としては異例の14万8000部(2019年11月現在)というベストセラーとなった。
日韓の作家10人による短編競作などを並べて「韓国・フェミニズム・日本」という特集を組んだ河出書房新社の季刊文芸誌「文藝」2019年秋季号は、1933年の創刊号以来となる86年ぶり2回目の3刷を記録した。

 韓流は日本以外の市場でも伸びている。
韓国コンテンツ振興院によると、出版や映画、書籍などを含むコンテンツ産業の輸出額は2005年の12億ドルから10年に30億ドル、17年に85 億ドルとなった。
かつては日本市場への依存度が3割以上だったが、最近は中国に台湾と香港を加えた中華圏のシェアが輸出額の5割近くを占めており、日本のシェアは2割を切っている。

 韓国を訪れた日本人数を男女別・世代別にみると興味深い傾向を読み取れる。
サッカーW杯のあった2002年と第2次韓流ブームのピークだった11年、そして18年を並べてみた。
この間に女性の韓国訪問者数が大きく伸び、中でも若い女性の増え方が激しいことは一目瞭然である。
一方で男性はどの世代を見ても、横ばいもしくは減少となっていた。

なぜ中高年は韓国に「上から目線」?

 第3次韓流ブームとは言っても、中高年世代の中にはまるで縁がないという人が少なくない。
日本の大学生と韓国からの留学生を集めたあるシンポジウムでの「韓流トーク」を聞いた70代の男性は、「初めて聞く話ばかりだ」と目を丸くしていた。

 この時に司会をした私は、聴衆からの質問を受け付ける時に「演説ではなく質問を。演説を始めたら司会の権限で打ち切ります」と注意しなければならなかった。
日韓関係のシンポジウムで、質問時間に長々と「韓国批判演説」をぶつ人を、たくさん目にするようになっていたからだ。

 韓国では以前から日本批判の熱い演説をする「常連さん」が何人かいるのだが、日本でもこういう人が出てきたのは驚きだった。

 シンポジウムだけではない。
2019年初めに出たあるパーティーでは、60代後半だと思われる初対面の男性から、こちらが自己紹介したとたん、「朝鮮半島が専門だというから聞くんだけど」と切り出された。
自覚していないのだろうが、かなり居丈高な態度だと感じた。

 その男性は「韓国はなんだ、あれ? やっぱりおかしいな」と、韓国批判演説を続ける。

 ここはパーティーであって、議論する場ではない。
場を盛り上げる義務が私にあるわけでもないが、かといって、行きがかり上無視もできない。

 仕方がないので、冷戦終結からの30年間に日韓関係は根本的に変わってきていること、お互いが変化した関係に適応できず、政治的な摩擦が激化していることなどを説明した。

 第3章(編集部注:本書の「韓国が突きつける挑戦状」)に書いたことを簡単に伝えたつもりだが、あまり納得してはもらえなかった。

 こうした人々と話していて感じるのは、近年の韓国の行動に対する「許し難い」「生意気だ」という感情である。
根底にあるのは、日本は少なくとも国交正常化後には韓国に配慮し、韓国の経済発展を助けてきたという自負だろう。
そうして積み上げてきた日韓関係を否定するように見えるから、近年の韓国側の動きが許し難く見えるのではないか。

 そうした感情を抱くようになる事情は人それぞれではあるだろうし、彼らの主張にも一理あることが多い。
だから、全てを否定するつもりはない。

 ただ、そうした感情の背景に、韓国への「上から目線」を感じるのも事実である。
現在の中高年が社会へ出た時代には、韓国は明らかに弱小国であり、日本とは比較しようがないほど弱い存在だったからだろう。

 同時にバブル経済が崩壊する前の日本には、韓国が少しくらい無茶なことを言っても、政治経済的に受け入れる「余裕」があった。

 「三つ子の魂百までも」ではないが、若い頃の物の見方から自由になることは、どんな人にも難しい。
韓国の国力が強くなったことを直視すべきだと説く私にしても、そうした「上から目線」から完全に自由だと言い切る自信はない。
韓流にあこがれて育った若い世代とは、どうしても感覚が違うのである。

 韓国に対する「感じ方」において、世代間で差があることは当然だ。
その「世代差」自体の善し悪しを論じるつもりはない。

世論調査でも「嫌韓」は中高年に集中

 ただ、そうした世代差は、事実として世論調査から読み取れるのである。
分かりやすいのは、日本政府による「外交に関する世論調査」だ。
米国や中国、韓国について「親しみを感じるか」などの設問を毎年調査している。

 2019年調査では、韓国に親しみを感じると答えた人は26.7%だった。
同じ質問を1978年に始めてから最低となった。
朴パ ククネ槿恵政権初期に慰安婦問題での対立が激化し、「告げ口外交」だという非難が日本国内で高まった2014年の31.5%がそれまでの最低だった。
1987年の民主化以前でも4割程度が普通だっただけに、底割れした感がある。

 興味深いのが世代差だ。
「韓国に親しみを感じる」という回答が18~29歳では45.7%あるのに、70歳以上では17.4%。3倍近い格差である。
他の年代も見ると、30代32.5%、40代27.1%、50代28.9%、60代24.7%だった。
年齢が高くになるにつれ、韓国への見方が厳しくなる傾向が一目瞭然である。
男女の差も大きく、男性が22 .3%であるのに対し、女性は30.5%だった。

 朝日新聞は2019年9月の世論調査でストレートに「韓国を好きか、嫌いか」と聞いた。
「好き」が13%、「嫌い」29%、「どちらでもない」56%だった。
ここでも世代による違いは歴然としていた。
朝日新聞は「18 ~29歳は『好き』が23%で、『嫌い』より多い。

 『嫌い』は、高い年齢層に多い傾向がみられ、70 歳以上では41%が『嫌い』と答えた。
特に女性は、18~29歳、30代ともに『好き』が2割を超え、『嫌い』を上回った。
男性も18~29歳では『好き』が2割で、他の年代より高い。
一方、40代以上は『嫌い』が『好き』を大きく上回り、男性では50代以上の4割が『嫌い』と答えた」と伝えた。

-ITmedia ビジネスオンライン-



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